21.14. poplib --- POP3 プロトコルクライアント

ソースコード: Lib/poplib.py


このモジュールはクラス POP3 を定義しています。 POP3 はPOP3 サーバへの接続をカプセル化し、RFC 1939 で定義されているプロトコルを実装しています。 POP3 クラスは RFC 1939 の最小限のコマンドセットとオプションのコマンドセットをサポートしています。 既に確立されている接続で暗号化された通信を行うために、RFC 2595 で導入された STLS コマンドもサポートされています。

加えて、このモジュールはクラス POP3_SSL を提供しています。 POP3_SSL は SSL を下層のプロトコルレイヤーとして使う POP3 サーバへの接続をサポートしています。

POP3についての注意事項は、それが広くサポートされているにもかかわらず、既に時代遅れだということです。幾つも実装されているPOP3サーバーの品質は、貧弱なものが多数を占めています。もし、お使いのメールサーバーがIMAPをサポートしているなら、 imaplib.IMAP4 クラスが使えます。 IMAPサーバーは、より良く実装されている傾向があります。

poplib モジュールは二つのクラスを提供します:

class poplib.POP3(host, port=POP3_PORT[, timeout])

このクラスが、実際にPOP3プロトコルを実装します。インスタンスが初期化されるときに、コネクションが作成されます。 port が省略されると、POP3標準のポート(110)が使われます。オプションの timeout 引数は、接続時のタイムアウト時間を秒数で指定します (指定されなかった場合は、グローバルのデフォルトタイムアウト設定が利用されます)。

class poplib.POP3_SSL(host, port=POP3_SSL_PORT, keyfile=None, certfile=None, timeout=None, context=None)

POP3 クラスのサブクラスで、SSL でカプセル化されたソケットによる POP サーバへの接続を提供します。 port が指定されていない場合、 POP3-over-SSL 標準の 995 番ポートが使われます。timeout については POP3 クラスのコンストラクタの引数と同じです。 context は SSL の設定、証明書、秘密鍵を一つの (POP3_SSL オブジェクトよりも長く存在し続けうる) 構造にまとめた ssl.SSLContext オブジェクトで、省略可能です。ベストプラクティスについては セキュリティで考慮すべき点 を参照してください。

keyfilecertfilecontext のレガシー版です - これらは、SSL 接続のための、 PEM フォーマットの秘密鍵と証明書チェーンファイル名(前者が keyfile 、後者が certfile )を含むことができます。

バージョン 3.2 で変更: context 引数が追加されました。

バージョン 3.4 で変更: このクラスは ssl.SSLContext.check_hostnameServer Name Indication でホスト名のチェックをサポートしました。(ssl.HAS_SNI を参照してください)。

バージョン 3.6 で非推奨: keyfile および certfile は非推奨となったので、 context を使ってください。 代わりに ssl.SSLContext.load_cert_chain() を使うか、または ssl.create_default_context() にシステムが信頼する CA 証明書を選んでもらうかしてください。

1つの例外が、 poplib モジュールのアトリビュートとして定義されています:

exception poplib.error_proto

このモジュール内で起こったあらゆるエラーで送出される例外です (socket モジュールからのエラーは捕捉されません)。例外の理由は文字列としてコンストラクタに渡されます。

参考

モジュール imaplib

標準 Python IMAP モジュールです。

Frequently Asked Questions About Fetchmail

POP/IMAPクライアント fetchmail のFAQ。POPプロトコルをベースにしたアプリケーションを書くときに有用な、POP3サーバの種類や RFCへの適合度といった情報を収集しています。

21.14.1. POP3 オブジェクト

POP3コマンドはすべて、それと同じ名前のメソッドとしてlower-caseで表現されます。そしてそのほとんどは、サーバからのレスポンスとなるテキストを返します。

POP3 クラスのインスタンスは以下のメソッドを持ちます:

POP3.set_debuglevel(level)

インスタンスのデバッグレベルを設定します。この設定によってデバッグ時に出力される量を調節します。デフォルトは 0 で、何も出力されません。 1 なら、一般的に1つのコマンドあたり1行の適当な量のデバッグ出力を行います。 2 以上なら、コントロール接続で受信した各行を出力して、最大のデバッグ出力をします。

POP3.getwelcome()

POP3サーバーから送られるグリーティングメッセージを返します。

POP3.capa()

RFC 2449 で規定されている機能についてサーバに問い合わせます。{'name': ['param'...]} という形の辞書を返します。

バージョン 3.4 で追加.

POP3.user(username)

userコマンドを送出します。応答はパスワード要求を表示します。

POP3.pass_(password)

パスワードを送出します。応答は、メッセージ数とメールボックスのサイズを含みます。注意:サーバー上のメールボックスは quit() が呼ばれるまでロックされます。

POP3.apop(user, secret)

POP3サーバーにログオンするのに、よりセキュアなAPOP認証を使用します。

POP3.rpop(user)

POP3サーバーにログオンするのに、(UNIXのr-コマンドと同様の)RPOP認証を使用します。

POP3.stat()

メールボックスの状態を得ます。結果は2つのintegerからなるタプルとなります。 (message count, mailbox size).

POP3.list([which])

メッセージのリストを要求します。結果は (response, ['mesg_num octets', ...], octets) という形式で表されます。 which が与えられると、それによりメッセージを指定します。

POP3.retr(which)

which 番のメッセージ全体を取り出し、そのメッセージに既読フラグを立てます。結果は (response, ['line', ...], octets) という形式で表されます。

POP3.dele(which)

which 番のメッセージに削除のためのフラグを立てます。ほとんどのサーバで、QUITコマンドが実行されるまでは実際の削除は行われません(もっとも良く知られた例外は Eudora QPOPで、その配送メカニズムはRFCに違反しており、どんな切断状況でも削除操作を未解決にしています)。

POP3.rset()

メールボックスの削除マークすべてを取り消します。

POP3.noop()

何もしません。接続保持のために使われます。

POP3.quit()

サインオフ: 変更をコミットし、メールボックスをアンロックして、接続を破棄します。

POP3.top(which, howmuch)

メッセージヘッダと howmuch で指定した行数のメッセージを、 which で指定したメッセージ分取り出します。結果は以下のような形式となります。 (response, ['line', ...], octets).

このメソッドはPOP3のTOPコマンドを利用し、RETRコマンドのように、メッセージに既読フラグをセットしません。残念ながら、TOPコマンドはRFCでは貧弱な仕様しか定義されておらず、しばしばノーブランドのサーバーでは(その仕様が)守られていません。このメソッドを信用してしまう前に、実際に使用するPOPサーバーでテストをしてください。

POP3.uidl(which=None)

(ユニークIDによる)メッセージダイジェストのリストを返します。 which が設定されている場合、結果はユニークIDを含みます。それは 'response mesgnum uid という形式のメッセージ、または (response, ['mesgnum uid', ...], octets) という形式のリストとなります。

POP3.utf8()

UTF-8 モードへの切り替えを試行します。成功した場合はサーバの応答を返し、失敗した場合は error_proto を送出します。RFC 6856 で規定されています。

バージョン 3.5 で追加.

POP3.stls(context=None)

アクティブな接続にて RFC 2595 で定められた方法で TLS セッションを開始します。TLS セッションはユーザ認証を行う前に開始する必要があります。

context は SSL の設定、証明書、秘密鍵を一つの (POP3 オブジェクトよりも長く存在し続けうる) 構造にまとめた ssl.SSLContext オブジェクトです。ベストプラクティスについては セキュリティで考慮すべき点 を参照してください。

このメソッドは ssl.SSLContext.check_hostnameServer Name Indication でホスト名のチェックをサポートしました。(ssl.HAS_SNI を参照してください)。

バージョン 3.4 で追加.

POP3_SSL クラスのインスタンスは追加のメソッドを持ちません。このサブクラスのインターフェイスは親クラスと同じです。

21.14.2. POP3 の例

以下にメールボックスを開き、全てのメッセージを取得して印刷する最小の (エラーチェックをしない) 使用例を示します:

import getpass, poplib

M = poplib.POP3('localhost')
M.user(getpass.getuser())
M.pass_(getpass.getpass())
numMessages = len(M.list()[1])
for i in range(numMessages):
    for j in M.retr(i+1)[1]:
        print(j)

モジュールの末尾に、より拡張的な使用例が収められたテストセクションがあります。